FP1級のきんざい実技面接試験に出てくるストックオプションについての解説ページです。
あくまで実技面接試験という短い時間で話をする前提で必要となるであろう情報をまとめていきます。
なお、このページは国税庁のページを参考にしています。
出題年月日
確認できているのは2022年2月19日Part1のみです。
実技対策本2021年版に収録されています。
ストックオプションとは
一定期間内にあらかじめ決められた価格で株式を購入できる権利のことです。
会社が役員や従業員に対して付与することが一般的です。
ストックは株式を意味し、オプションは購入するかどうか自由に選択できるものを意味します。
ストックオプションは購入できる「権利」なので、購入しないことも選べます。
例えば1株1000円で購入できる権利をもらったとして、購入期間中の対象の株価が500円だったら1000円で購入するのは損ですよね。
そんなときは権利行使をしないという選択をすることができます。
ストックオプションの課税関係
ストックオプションの課税関係はストックオプションが税制非適格か税制適格かで変わります。
税制非適格ストックオプション
税制非適格ストックオプションの場合は以下の2段階に分けて課税されます。
- 付与された権利を行使して株を購入した時
- その取得した株式を売却した時
付与された権利を行使して株を購入した時
(権利行使時の株価-権利行使価格)×株式数=所得金額
として課税対象となる金額が計算されます。
以下、計算例です。
権利行使時の1株当たりの株価5,000円、権利行使価格(購入できる価格)3,000円で500株購入したとき。
(5,000-3,000)×500=1,000,000
以上より、このストックオプションの権利行使をすると100万円の所得があったとみなされます。
また所得区分に関しては次の3種類に分けられます。
会社と権利行使する人が雇用関係にある時・・・給与所得
退職し一定の要件に該当する場合・・・雑所得
対象の人が営む業務に関連してストックオプションが付与された場合・・・事業所得or雑所得
いずれのパターンであっても総合課税(最大55.945%)の対象となるので、その他の所得金額次第では所得税が膨れ上がることに注意です。
また、このタイミングの課税は権利行使して株を取得しただけであるため手元にキャッシュは入っていません。
株を取得しただけなのに課税されるのは厄介ですね。
その取得した株式を売却した時
(売却価格-権利行使時の株価)×株式数=所得金額
として課税対象となる金額が計算されます。
以下、計算例です。
権利行使時の1株当たりの株価5,000円で500株取得した株式を8,000円で売却したとき。
(8,000-5,000)×500=1,500,000
以上より、このストックオプションで取得した株式を売却すると150万円の所得があったとみなされます。
また所得区分に関しては譲渡所得として分離課税となります。(20.315%)
税制適格ストックオプション
税制適格ストックオプションは取得した株式を売却した時のみ課税されます。
以下、計算例です。
権利行使時の1株当たりの株価5,000円、権利行使価格(購入できる価格)3,000円で500株購入し8,000円で売却した時
(8,000-3,000)×500=2,500,000
以上より、このストックオプションで取得した株式を売却すると250万円の所得があったとみなされます。
また、所得区分は税制非適格と同じく譲渡所得として分離課税となります。
ストックオプションを付与される立場からすると税制適格のほうが圧倒的にうれしいですね。
さいごに
今回はストックオプションとその課税関係についてでした。
過去に出てきたものを覚えるのなら楽ですがこれ初見だったらまず答えられないですよね。
これがでてきた2022年2月19日の受検者はほんとに尊敬です。
またこの回は海外不動産なんていうイレギュラーもあるのがきついですね。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
個別論点解説について取り上げてほしいものがあればツイッターでご連絡いただけると嬉しいです。
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