毎年2月16日から3月15日まで確定申告の時期です。
この時期になると主に個人事業主のお客さまからよくお問い合わせをいただきます
今年払った保険料は全額経費にしていいの?
自宅を事務所として使っているけど全額経費でいいの?
今回はそういった疑問にお答えするための記事です。
特に個人事業を始めたばっかりで青色申告が初めてだという方に向けた記事となるかと思います。
また、法人の方であっても経理に携わったばかりの方などにも参考になるかと思います。
近年保険料の値上がりが続いており、毎年契約手続きを行うより長期期間まとめて契約するほうがトータルコストが抑えられます。
毎年契約であれば払った保険料をそのまま損金にもできますが長期契約になると話が変わってきますのでご覧ください。
なお、今回の記事は掛け捨て型の損害保険に限定した記事となっておりますのでご了承ください。
経費になる保険とは
ケース① 事業に関係ない保険
経費に算入できません。
例えば自宅の火災保険や、代表者に対する傷害保険、ゴルファー保険などは事業にかかわるとみなされないので全額経費として認められません。
ケース② 事業にかかわる保険
経費に算入できます。
例えば、事務所として使用する建物に対する火災保険や自動車保険、賠償責任保険は経費に算入してOKです。
ただし、支払い方法によって算入できる金額が変わりますので後述します。
ケース③ 個人用と事業用が混在している場合
一般的に併用住宅と呼ばれる自宅兼事務所や自宅兼店舗にかける火災保険のことです。
この場合は自宅部分と事業用部分の面積で保険料を案分します。
保険料1万円、自宅部分の面積:事務所の面積=6:4
の時、1万円の10分の4である4千円が経費の対象となります。
経費に算入できる保険料の額と仕訳
今回の事例の条件は以下の通りです。
仕訳の条件
- 会計期間を1月1日~12月31日
- 保険のスタートを4月1日~
- 月々の保険料は1万円(年間12万円)
- 掛け捨て型の保険を想定
ケース① 月払、長期月払契約の場合
毎月の支払いの時点で以下の仕訳が発生します。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
保険料(費用) | 10,000 | 現金・預金(流動資産) | 10,000 |
これを4月から12月の9か月間払うので合計で90,000円が当期の経費算入額となります。
次事業年度も引き続き加入し続けると1月から12月まで毎月払い続けることになるので12万円の経費算入となります。
ケース② 一括払、長期年払の場合
こちらは払ったタイミングで全額経費に算入できます。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
保険料(費用) | 120,000 | 現金・預金(流動資産) | 120,000 |
4月から翌年の3月までなので、当期の会計期間を3か月分余分に払ってしまっていますが全額経費算入可能です。
期末で以下のような振替処理をする必要もありません。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
前払費用(流動資産) | 30,000 | 保険料(費用) | 30,000 |
ケース③ 長期一括払の場合
この場合は支払った金額を当期分、翌期分、翌々期分以降と分ける必要があります。
5年一括で支払ったとすると60か月の保険料を以下のように分ける必要があります。
- 当期分:9か月
- 翌期分:12か月
- 翌々期分以降:39か月
初年度の仕訳
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
保険料(費用) 前払費用(流動資産) 長期前払費用(固定資産) | 90,000 120,000 390,000 | 現金預金(流動資産) | 600,000 |
次年度の仕訳
前払保険料を保険料に、長期前払保険料の12か月分を前払費用に振替えます。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
保険料(費用) 前払費用(流動資産) | 120,000 120,000 | 前払費用(流動資産) 長期前払費用(固定資産) | 120,000 120,000 |
最終年度の仕訳
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
保険料(費用) | 30,000 | 前払保険料(流動資産) | 30,000 |
満期を迎えたあとはまた同じ仕訳を繰り返すことになります。
どの支払い方法がいいの?
経費処理の面からみると圧倒的に長期一括払い以外がおすすめです。
私が働いている会社では長期一括で火災保険に加入していますが、仕訳が圧倒的に手間です。
特に部門別損益計算書を作成するために全体の火災保険料を物件ごとに計算しなおして期間案分するのでかなり時間がかかってしまいます。
実際に個人事業主様や法人様では長期年払を選択される方が多くいらっしゃいます。
長期一括払のメリットはまとめて払う分、割引がかかる点です。
また、仕訳等を税理士さんにすべてお任せしていて、自分のところではそこまで手間がかからないという方も長期一括で加入されています。
また、月払・長期月払・一括払い・長期年払は毎回決まったタイミングでキャッシュを用意しなければなりません。
キャッシュフローが厳しくても準備しないといけなくなります。
長期一括払は一回払ってしまえば満期まではお金は不要なので、今は余裕あるけど次年度以降は不安というときに利用される方が多いです。
さいごに
今回は保険料の経理処理についてでした。
もし今年初めて確定申告で保険料の処理について悩んでいる方がいらっしゃれば、参考になればうれしいです。
でも今は無料の会計ソフトが充実しているらしいのでもしかしたらこのあたりは自動でやってくれるのかもしれません。
でもある程度保険料に対する会計処理の知識は持っておいたほうがいいかなとは私は思います。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
インターネットで確定申告するためにマイナポータルを使う必要がありました。
ですが、私の携帯はマイナポータルでは対応しておりませんでした。
そこでこのカードリーダーを購入してなんとか手続き完了。
医療費控除とふるさと納税の申告することができました。
郵送でもよかったんですけど今後のこともあるのでカードリーダーはあってもいいのではないかなと思います。
それより対応する端末を増やしてほしいんですけどね。。。
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