【個人賠償責任特約】スシローペロペロ問題から見る高額損害賠償に対する対策とは?

保険ニュース

スシローの店舗で客の少年が醤油差しを舐める動画が拡散された問題で、スシローを運営する「あきんどスシロー」が、少年に対し約6,700万円の損害賠償を求め裁判所に提訴したことが話題になっています。

ただし6,700万円の提訴をしただけなので、最終的な支払金額は確定していません。

ですが、6,700万円という高額な賠償金を支払える家庭は非常に少ないと思われます。

自己破産も考えられますが、破産法253条によれば損害賠償の支払い義務を負う加害者に課せられた損害賠償金は破産しても消えないものとされています。

(免責許可の決定の効力等)

第二百五十三条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。

 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)

 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)

破産法 | e-Gov法令検索

では、この問題に対する何らかの対策は存在するのでしょうか。

ここで、日常生活で発生した賠償の補償をしてくれる個人賠償責任補償特約について考えてみましょう。

なお、この記事は約款等に基づいた主観的な内容であり、実際に判決が下り賠償金額が確定した場合にどうなるかはわからないため、個人賠償責任補償特約の考え方の参考にとどめてください。

個人賠償責任補償特約とは

契約者(被保険者)の日常生活に起因する偶然な事故により、法律上の賠償責任を保険が負担するものです。

よく自転車保険加入義務化といわれていますが、自転車保険の一部はこの個人賠償責任特約のことです。

この特約に加入していれば自転車で他人に接触事故を起こし治療費を負担することになっても保険金で対応することが可能です。

それ以外にもお店の高額な商品を破損してしまったり、ペットの散歩中にペットが他人を噛んでけがをさせてしまった場合なども補償の対象となります。

ではこの事例で個人賠償で対応できるか

結論からいうと多分無理です。

いたずらしようとする行動は故意によるもので保険でいう事故には当たらないです。

ですがそれで終わるのもどうかと思うので屁理屈こねて支払いの対象になるか約款等から考えてみます。

個人賠償責任特約の「偶然な事故」に該当するかが微妙なところなので、「偶然」の定義から考えたいのですが、約款上で個人賠償の「偶然」について明確に定義されていません。

そのため、傷害保険の「偶然」の定義を引用します。

事故の偶然性
「偶然」とは、一般的に「事故の原因または結果の発生が被保険者とって予知できないことや被保険者の意思に基づかないこと」などと解されています。①原因が偶然であること(階段で足を踏みはずすなど)、②結果が偶然であること(荷物を持ち上げて腰を痛めるなど)、③原因と結果がともに偶然であること(道路で転んだところを走ってきた車にひかれるなど)のいずれかであることが必要です。反対に、例えば足の骨折治療中にボールを蹴って悪化させた場合などは十分に結果を予測することができるので、偶然性があるとはいえません。

日本損害保険協会 – 損害保険Q&A – からだの保険・他 – 問71 傷害保険 (sonpo.or.jp)

この問題から考えると「②結果が偶然であること」が使えなくもないかもしれません。

少年にとって「いたずらをした動画が拡散されて損害賠償請求を受けることになった」という結果は予知できないもの、と解釈できるかもしれません。

この解釈が成り立つ場合、個人賠償責任特約の免責事項(保険金を支払わない場合)にも該当しなさそうなので保険の支払い対象になりそうです。

誰が個人賠償責任特約に加入すればいいいのか

親が加入していれば問題ありません

個人賠償の被保険者は次の通りです。

  1. 本人
  2. 本人の配偶者
  3. 本人、その配偶者の同居の親族
  4. 本人、その配偶者の別居の未婚の子

保険会社によっては被保険者が追加されるものもありますが、一般的にはこの4つが対象となります。

したがって、子どもが加入するよりも親が加入するほうが補償対象となる人が広がり無駄が減ります。

さいごに

今回はスシローいたずら問題から考える個人賠償責任特約についてでした。

補償の対象になるとは断言できないものの解釈次第ではいけそうですが、あくまで主観に基づくものですので実際にどうなるかはわかりません。

個人賠償責任特約は日常生活で発生する多くの賠償事故を対象にしてくれます。

年間数千円で加入できるため加入していない人はこの機会にぜひ加入をお勧めします。

ただし、具体的な保険の適用や支払いについては、保険契約書や各保険会社の約款を確認することが重要です。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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