ホテルの備品のケトルでカニを茹でたら賠償請求されたというニュースがでていました。
ニュースのポイントは次の通りです。
ニュースのポイント
- ホテル利用者が室内の備品のケトルでカニを2回茹でた
- 臭気付着のため利用者退室後にその部屋を貸せなかった
- その損失として賠償金4万円を請求された
- 再交渉の結果、消臭業者代とケトル代として2.2万円請求された
- 弁護士の見解としては損害賠償金を支払う必要があるとのこと
さて、今回の事例では使える保険はあるのでしょうか。
個人賠償責任補償特約なら使えます
火災保険や自動車保険などに特約として付帯できる個人賠償責任補償特約なら使えると思います。
個人賠償責任補償特約の補償内容は次の通りです。
個人賠償責任補償特約の補償内容(一部)
被保険者の日常生活において、他人の財物を損壊した場合に、法律上の賠償責任を負担することによって被る損害に対して保険金が支払われる。
保険の解説にありがちな難しい言葉がならんでごちゃごちゃしてる文章なので、分解して今回の事例に当てはめると以下の通りになります。
事例の解釈
- 被保険者・・・ホテルの利用者
- 日常生活・・・ホテルの利用
- 他人の財物・・・ホテルの部屋とケトル
- 財物の損壊・・・部屋とケトルの臭気付着
- 法律上の賠償責任・・・弁護士の見解としては発生する
以上から考えると、今回の事例では個人賠償責任補償特約の支払い対象となると解釈できます。
個人賠償についての全体的な概要はこちらをご覧ください。
支払われない可能性もある
個人賠償責任補償特約で支払いは可能ですが、この特約は故意によって発生した事故については保険金が支払われません。
例えば、行為者がホテルに迷惑をかけよう(嫌がらせをしよう)と思ってケトルでカニを茹でた場合は支払われません。
逆に言うと、この臭気付着などの結果が予測できなかったと保険会社が判断すれば保険金の支払いの対象になります。
また、事故が発生した場合は今後の事故の発生・拡大の防止に努めなければなりません。
臭気付着で部屋の中がすごいことになっているのにも関わらずカニを食べたいからといって茹で続けると保険金の支払い対象外になる可能性もあります。
あとはそもそもケトルはカニを茹でるためのものでもないので、一般常識的に支払いを拒否される可能性はなくはないと思います。
支払われる可能性の一つとして、カニを茹でた人が責任能力のない子どもなどであれば対象になるかもしれません。
その場合、監督者である親御さんに対する批判がはかり知れませんが。。。
保険金を請求するには
加入している保険会社か保険代理店に以下のことを伝える必要があります。
保険会社に伝えるべきこと
- 発生した日時
- 事故の原因と状況
- 賠償の請求を受けている場合はその金額や内容
今回の事例で保険会社との対話を想定するとこんな感じでしょうか。
ホテルを利用したらホテルから賠償請求されたので個人賠償責任特約を使いたい
かしこまりました。
日時や事故の原因や状況を教えてください。
昨日、ホテルの部屋の備品のケトルでカニを茹でたら、部屋に臭いがついて消臭代やケトル代を請求された
・・・多分、オペレーターの人は困惑するでしょうね。
私が事故受付窓口なら何度も状況を聞き返すことになると思います。
さいごに
今回はニュース記事についての解説でした。
個人的な意見としては「家でカニを茹でてください」です。
そうとうおいしそうなカニだったんでしょうか。
何かをする前にある程度の結果を予測してから行動することで事故を軽減することが可能です。
これを読んでくれている皆さんはホテルのケトルでカニを茹でたりしませんように。。。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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