不動産の大家さんが施設賠償に入るべき理由と事故事例

保険ニュース

最近は投資ブームということもありその手段の一つとして不動産投資も流行っています。

一口に不動産投資といってもワンルームマンション、一戸建住宅、マンション一棟などを購入して賃貸するなどいろいろな手段があります。

不動産投資をする人は建物を購入後おそらく火災保険には加入するかと思います。

では、その火災保険の特約に「施設賠償責任保険」は入っているでしょうか。

特約ではなく別の契約に「施設賠償責任保険」は入っているでしょうか。

この保険は不動産投資をする人であれば必須クラスの保険ですので解説していきます。

施設賠償責任保険とは

不動産の所有者が入居者や、不動産の管理不備によって第三者への身体や財物に損害を負わせた時に発生する賠償費用をカバーする保険です。

火災保険に特約として付帯したり、施設賠償責任保険単体での加入も可能です。

なお火災保険の特約として加入する場合は保険会社によって名称が異なることがあり「建物管理賠償」や「店舗賠償」という名前になったりしています。

どういった名前であったとしても基本となる補償内容は変わりませんが、細かい部分で保険金が出たりでなかったりします。

施設賠償責任についてはこちらもご覧ください。

賃貸物件のオーナーが遭遇した事故事例

これは施設賠償責任保険に不動産オーナーが加入しておらず賠償金を全額実費で負担した事例です。

所有している賃貸マンションで漏水事故が発生した結果、入居者へ賠償金を支払うことになりました。

以下、事例の経緯です。

不動産オーナーが賠償金を支払うことになった経緯(金額等はざっくり変更しています)

  1. 配水管の破損により室内に漏水し入居者の家財に水濡れ損害が発生
  2. 入居者は自身でかけていた火災保険の水濡れ補償で家財の修理費用を保険会社に請求
  3. 全額認められ保険会社から300万円(家財を新しく購入した場合にかかる費用)の保険金を受け取る。
  4. しかし、今回の水濡れ損害の発生原因は建物の管理責任にあると保険会社が判断し300万のうち時価の200万円を建物所有者に求償
  5. 建物所有者は自分は悪くないと主張するものの保険会社が弁護士をだし200万円全額支払いを命じられる

この事故のきっかけは配水管の破損です。

建物の外観の破損などであれば事故リスクがあるかどうかは見て取れますが、配水管はそうもいきません。

ですが、こういった事例でも建物所有者へ賠償責任が課されてしまうケースが大半です。

こういったことに対応するために建物所有者は施設賠償の加入が必須だと考えられます。

加入するなら火災保険の特約か施設賠償単品のどっちがおすすめ?

どちらにもメリットデメリットがありますので絶対にこちらという言い方はできません。

ですが私であれば手続きの手間を考えても商品性の差で単品を選ぶと思います。

火災保険の特約の場合

火災保険に施設賠償を付帯するメリットは次の3つです。

火災保険に施設賠償を付帯するメリット

  • 火災保険に付帯するだけなので手続きが1回で済む
  • 保険期間も火災保険と一緒になるため長い期間で加入できる
  • 火災保険に必要な情報のみで加入できるため告知が不要

以上のように火災保険とセットで加入するため手続き面が楽になるという点でのメリットになります。

私が見てきた主観ですがワンルームマンション投資をしている人はこっちのパターンが多い印象です。

逆にデメリットとしては次の3つです。

火災保険に施設賠償を付帯するデメリット

  • 保険金額に柔軟性がないことが多く決まった金額しかつけられない
  • 今回の事故例で支払われる漏水事故が対象外になっている可能性がある
  • 保険料が高い傾向にある

あくまでも特約なので単品商品に比べると保険会社も商品設計に制限をかけているように思います。

また、デメリット2つ目の「漏水事故が対象外」についてですが、実は施設賠償は「約款上」は漏水事故が対象外となっています。

そこに漏水事故を補償する特約を付帯することで施設賠償でも漏水事故が補償されることになります。

火災保険に付帯する場合、特約に特約を付帯することになりますので保険会社や商品によっては対象外になる可能性があるのです。

施設賠償に加入する場合

特約としてではなく施設賠償に単品で加入する場合のメリットは次の3つです。

施設賠償単品に加入するメリット

  • 複数の物件を所有している場合は1つの契約でまとめて補償に入ることができる
  • 保険金額が柔軟に選べるので物件の規模に合わせて金額を設定することができる
  • マンションなどに限らずいろんな物件に保険をかけることができる

3つ目の「いろんな物件に保険をかけることができる」について、火災保険の特約の場合は物件の種類によって付帯できる物件とできない物件があります。

保険会社や商品にもよる部分ではありますが、施設賠償単品であればその制限がないので一律同じ手続きを行うことも可能です。

そして施設賠償単品に入るデメリットとして以下の3つです。

施設賠償単品に加入するデメリット

  • 基本的に1年更新となるので手続きがめんどくさい
  • 不動産業ではなく別の事業の補償をしたいときに面積以外の情報を求められる
  • 特約が多く自分で必要な補償を判断することが難しい

3つめの「特約が多い」点ですがメリットでもありデメリットでもある部分です。

賠償保険のことをあまりご存知でない方が見積もりを依頼した場合、あれもこれも特約を付けられて無駄金を払ってしまう可能性もあります。

特約が多いのはいろんな事例に対応するためではありますが、逆に業者にとっていいネタにされる可能性もあるということです。

信頼できる保険代理店などがなければお金を借りた銀行に保険代理店を紹介してもらうのも手だと思います。

単品加入の場合に必要な特約は?

そもそも特約とは

特約とは「本来補償の対象外になっているが付帯することで補償の対象になるもの」もしくは逆に「本来補償の対象になっているが付帯することで補償の対象外になるもの」を指します。

皆さんがイメージするものは前者が圧倒的に多いと思います。

今回お勧めする特約も前者のパターンです。

後者としては自動車保険の年齢条件がわかりやすい例でしょうか。

本来誰でも補償の対象になる保険を運転者の年齢を下げることで保険料を安くすることが可能となります。

お勧めする特約

「漏水事故補償特約」は必ず付帯してください。

これがないと施設賠償に加入しているのに今回の事故対応ができません。

またこの保険はあくまでも賠償金を補填するための補償です。

なので事故被害者への見舞品などの購入費用は本来対象外です。

それを補填するための「被害者対応費用特約」(保険会社によって名称が異なります。)もおすすめです。

おすすめの保険会社は?

面積の小さい物件であれば損保ジャパン。

それ以外は好きな保険会社でいいのではないかと思います。

理由として施設賠償の単品商品としては各社同じ商品設計となっているので差はありません

ですが、この商品には最低保険料というものが設定されています。

最低保険料とはどれだけ小さい保険でも最低これだけの保険料はもらいますというものです。

この最低保険料が保険会社によって1000円だったり5000円とまちまちです。

この最低保険料が損保ジャパンでは1000円です。

ほかにも1000円の保険会社はあると思いますが、こちらで確認できておりません。

物件が大きく5000円を超えるようであればどこでもいいのですが、ワンルームマンションのような小さい物件であればこの最低保険料を下回る保険料になる可能性があります。

そのため、無駄に保険料をはらうことのない損保ジャパンで加入することをお勧めします。

さいごに

今回は施設賠償の事故事例についてでした。

不動産投資は物件を購入しておしまいではありません。

その後の管理なども含めての不動産投資です。

予想外の事故で大きな出費を負うことの内容に施設賠償への加入をご検討ください。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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